今みたいにポータブルのMDなんてなかった一九九四年から一九九五年あたりに、カセットのウォークマンで同録したライヴの音源が三本以上ある。ほとんどがJAZZ系のライヴハウスで録音されたJAZZ系のインストもので、ヒスノイズには埋もれているけれども、どれもこれも素晴らしい演奏ばかりだ。このままにしておくと、カセットテープという性質上、いつ再生できないような時が来るかもしれないので、一ヶ月ぐらい前からちょっとづつ、せっせとデジタル化をしている。
単純にカセットプレーヤーのラインアウトから、DIGI001経由でProToolsのセッションに録音してるだけで、バウンスをしてオーディオCDにしている訳ではなく、とりあえず全部「デジタル化してしまう」のが目的。出来上がったProToolsのセッションファイルをCD-Rにバックアップを取っておいて、そのうちオーディオCDに出来ればいいかなという感じである(勿論、これは個人的に楽しむ以外の使用目的はない。なかにはファンがヨダレを垂らしそうなものもあるのだが)。
そういう作業をしながら聴いていると、当時鳥肌をたてながらシビレていた感覚が蘇ってきて、やっぱり音質も大事だけれども、本質はその内容なのだなと実感。デジタルとアナログはどっちがいいか? というのは置いといて、レコーディング業界はサンプリング周波数があがっていく(まぁ、最後には16bit/44.1kHzなんだけど......)。より良い音質を! というのは良く分かるけれども、その流れとは逆にMP3によってその業界は揺らいでいるなんていう矛盾した事にもなるのは、どういうコトなのだろう? 結局リスナーにしてみれば、音質なんてものは一番重要な事ではないのかもしれない、マニア以外は。もちろん電気楽器な音楽は特にそうなのだろうなぁ。そしてやっぱり、最新技術を盛り込んだ最新ヒットチューンよりも、このヒスノイズに埋もれた宝物のようなひとつひとつの音にシビレまくるのだ。 でも、音楽はライヴに勝るものなし! 土曜日の、このカセットコレクションにも数多く登場する「W.I.N.S 」( W.I.N.S唯一のアルバム、多分もう廃版のはず......)のライヴを今日やっと電話予約した。