パザ日誌


2003年3月26日 (水曜日)----すぎもとともひで

目撃者になるということ

いわゆる「人間の盾」としてイラクに行っている人に対して「意味が無い」だの「利用されている」だの否定的な意見が目立ちます。ボクもちょっとそういう事を思っていたりもしました。でもこの前に国際連帯運動(ISM)という団体の行動に参加された方の講演を聴いて、あぁそういう事かと思って考えが変わりました。

国際連帯運動というのは、パレスチナの地でイスラエル側から「外出禁止令」が出た時に、例えば怪我をしたり病気の人などと一緒に「外出する」という行動などをしているそうです。「外出禁止令」がでてるときにパレスチナの人が外に居ると、イスラエル兵に殺されてしまうそうなのですが、「外国人」が一緒に居ると大丈夫なのだそうです。そういう意味での「人間の盾」ですね。

実際にこの運動に参加された日本人の方によると、はじめは自分は医師の資格とかがあるわけでもなくて、そういう所でどれだけ直接的に現地の人の役に立てるのだろう? という疑問があったのだそうですが、あぁいう地域では「外国人(第三者)が目撃者(目撃証人)になる」というのが非常に大切な事だという事が分かったという事でした。一応「ルールに則って行動しているぞ」という建前があるので、「第三者による目撃」があると無茶ができないという事だそうです。実際に写真でも見せてもらいましたが、イスラエル兵はパレスチナの人の家を一軒一軒家宅捜索とかをするのですが、そのやり方がひどかったりするのです。玄関から入ったらいいものを、わざわざ壁をぶち抜いて入ったりする。何の抵抗もしてないのにですよ。そういう無茶も「第三者」が見ていたら出来ない訳です。だからただその街に「目撃者」として居るだけでイスラエルの暴走の抑止力になるのだそうです。実際に街を歩いてても、いたる所から呼ばれて「うちに来てお茶でも」とか言われるそうです。みんな「目撃者」がいれば無茶をされないというのを知っているからだそうです。

そして毎日新聞のサイトでこういう記事もありました。

米国人を中心にした市民グループ「イラク平和チーム」がバグダッドにとどまっている。「米国の戦争の証人」となり、全世界に現地の声を伝えるためだ。

イスラエルの場合だけじゃなくて、今回のイラクでも「第三者による目撃証人」になる事は出来ると思うんです。ただこの記事の中で言ってますが人間の盾になるつもりはないと明言しているのは良いと思いました。「人間の盾」にこだわるんじゃなくて、「目撃証人」として本当に有った事を現地から、そして帰って来てから多くの人に語っていただきたいと思います。それで十分に意味が有るのです。