パザ日誌


2005年8月 2日 (火曜日)----すぎもとともひで

6000円って(苦笑)

ちょっと前に買った、シュトックハウゼンの全集40『光の火曜日』をiPodで聴きながら----しかし、iPodにしてもボクの車のCDプレイヤーにしても、このCDを聴くときはちょっとストレスが貯まります。なんせトラックが変わる時に無音になるんですね。息継ぎするんです。特にこのCDの2枚目は99トラックもあるので、息継ぎしまくり。ちょっとイライラします----プラッツ近鉄の旭屋書店で、Klang Weblogさんのアイデア311号 音のコスモグラフィというエントリーで知った本、アイデアを立ち読みに寄ってみました。

シュトックハウゼンの全集CDのジャケットの特集があって、とっても良いですね。思わず買ってしまおうかという衝動にかられてしまいましたが、3000円弱もする本なのでグッと我慢しました。でもこの内容なら値打ちは有ります、勿論。でもお金がないんです(苦笑)。

しかし、このシュトックハウゼンの全集ジャケット、実はボクは大好きです。最初に見た時には「何これ?」って感じはしましたが、高値で売られてるこのCDに憧れて、いつか買ってやるいつか買ってやると思って見ていると、これがもうジャケットまでも素晴らしく思えて来るのですね。初めて買ったときは本当に嬉しかったですから。誰に何と言われようと、ボクはこのジャケット大好きです。

で、読み終わって横の本に目をやると、『Title9月号』(特集は『こんなタワレコ見た事ない!』)があったので、そういえば、これに菊地成孔さんと横山剣さんの対談があるんだっけ......と思って読んでみました。この対談記事の中で2人が選んだCDが紹介されているんですけれど、その中の菊地さんのセレクションにシュトックハウゼンの『コンタクテ』が有りました。Wergo盤ですけれど。で、それはいいんですけれど、このCDのコメントに次の様に書かれていて----いや、正確には書き起こされていて----口をあんぐりと開けたまま、声も無く笑ってしまいました。

これは録音に莫大な金がかかっているアルバムです。このCD自体も6000円というね。とにかく金の亡者ですから。西海岸のヒップホップとは全然違う、ドイツ人の現代音楽家らしいやりかたでね。今年来ましたけどね(笑)

これ勿論事実誤認なんですけれど、菊地さんの事を知らない人で、更にシュトックハウゼンの大ファンの人が目にしたら怒るだろうなぁと思いましたですよ。菊地さんの日記を読んでいて、その「誤字脱字もこの人のユニークな所だ!」と思ってる人ならば、菊地さんがシュトックハウゼンに敬意を持っていて、けっして悪く言った訳じゃなくて、さらに「そのCDの値段、実はいくらだったのか覚えてないんでしょう?(苦笑)」って思えるんですけれど、そうでなければ、烈火の如く怒りだしてしまいそうです。でもこれ、思い込んで喋ってる菊地さんをフォローで来てない編集の人が悪すぎるでしょう。CDのジャケットまで出してるのに、本当の値段くらい調べれば分るでしょう!

ちなみにボクもこのWergo盤コンタクテ持ってますけれど、2000円で買いましたし。WergoのこのCDのページ見ても定価は18,50ユーロですよ。Amazonではちょいと高めですけれど、3200円(ちなみに数ヶ月前に見た時には1800円くらいだったような気がしたんですけれど......)。

それから、菊地さんは水曜日の深夜にWanted!というFM番組のレギュラーを持っていて、ここではJPopとかと一緒に現代音楽もかけたりするんですけれど、この『コンタクテ』も5月11日にかけてました。この時にはタッキー&翼の曲に続けてかけて、その後に来日するとか、フジロックに出て欲しいよねとか、フジロックで『ヘリコプター四重奏曲』やって欲しいとか言って紹介してましたけれど、実はこの時にこのCD、ちなみに4200円でした。CDが高い事でも有名な人ですね。って言ってるんですよ(苦笑)。ほうら、1800円も上がってる(苦笑)。これがファンなら菊地さんらしいなぁと思う所で、『まったく、しょうがないなぁ......(苦笑)』って笑えるんですが、でもシュトックハウゼンを知らない人がこの本読んだら、シュトックハウゼンの印象が悪くなるっていうのは、ちょっとやっぱり困るよなぁ。

それから、「CDが高い事で有名」なのは確かにある意味そうですけれど、それはシュトックハウゼンが金の亡者だからじゃなくて、自主レーベルなので流通がうまくいってないからですよね。シュトックハウゼン公式サイトのCDカタログを見れば分りますよ。タワレコで5000円位はする『コンタクテ』も本当は25ユーロ/30ドルと高くないですよ。

そういえば、この前タワレコ行って見てみたら、シュトックハウゼン全集の66『光の水曜日迎えの曲』が5300円弱で売ってました。定価は23ユーロ/28ドルですよ。この高さはなんなのでしょうね? あ、そうか、この雑誌はタワレコ特集だから、シュトックハウゼンのCDは高いものだ! っていうのをアピールしときたかったんですかね(笑)。