パザ日誌

2002年11月01日(金)

柚子

小学校の給食で苦手な物は、人それぞれ色々とあったと思うのですが、僕は酢の物がダメだったのです。あの酢の臭いが嫌いで、酢の物の臭いを嗅いだだけで吐き気をもよおす程でした。今はどうかしらないけれど、ボクが小学生の頃は給食を残すのは許されない事で、この酢の物のせいで何回か昼休みが潰れ、無理矢理食べさせられた嫌な思いでがあります。

当時のスポーツ部では、水を飲んではいけないというのは当たり前の事で、どんなにのどが乾いても先輩や顧問の先生なんかは、水を飲ませてくれなかった時代でしたが、今ではそれはすっかり過去の迷信になっていますよね。ひょっとしたら今の学校では、給食を残すという行為があの頃とは変わっているのかも知れません。

もしボクに子供が出来て、今でもそんな事をしているのだったら、確実に学校に怒鳴り込みに行きますね。学校教育というものは、昔の「良い兵隊をつくる」という軍事教育を、そのまま「良い企業戦士をつくる」に摺り替えただけのもので、結局型にはまった「管理しやすい人間」をつくるためのものだという話しを聴いた事がありますが、まったくその通りだと思いますね。昔よく言われた「三角食べ」なんていう食べ方も、まったくその論理で、「好き嫌いなく効率的に食べさせる」というのが目的だったと専門家の人が言ってました。まったく、エサじゃないんだから、好きに食べさせろ! という感じです。

ボクの通ってた小学校では給食に「サンドイッチをつくりましょう」とか「ハンバーガーをつくりましょう」というメニューがあって、食パンとかハムとか、そういう具が別々にあって、自分でサンドイッチやハンバーガーを作って食べるというのがあったのです。
ボクは昔からひねくれていたので、一度も作った事がありませんでしたね。全部別々に食べてました。地味ながらも、人一倍反骨精神だけはあった、変なガキだったのです。いや、そんないいものではなくて、ただのひねくれたクゾガキだっただけですが。

だいたい小学生といえども、体の大きさはまちまちなわけで、食べられる量も同じな訳がない。それをみんな均一に食べさせるというのは、おかしいのは当たり前なのです。これは悪平等や健康の事ではなくて、まさに管理だけの事でしかない。くそう、納豆の食べられない先生に、無理矢理納豆を食べさせてやれ! 誰だって好き嫌いはあるのだ。

おっと、嫌な事を思い出してまた前置きが長くなってしまいましたが、何の話しかといえば、「酢」の話しです。ボクは何故「酢」がダメなのか、ずっと分からないでいましたが、ある時気が付きました。うちの家では「酢」というえば「柚子の酢」(ぼくの地方では柚子の事を「ゆぅ」というので、おばあちゃんとかは「ゆぅのす」と言っていました。今でもボクは「ゆぅのす」と言いますが、車じゃないですよん)の事なのです。



柚子

これはうちの裏や畑にある柚子の木からとれた柚子を、しぼっただけのもので、そのまま一升瓶とかにいれて保存し、使う分だけ小さいビンに入れて、いつでも食卓にはそのビンが置いてありました。京都でも、大手のスーパーなどにいけば、小さいビンに入れて売ってたりしますし、通販で有名になった「馬路村」なんてのもありますが、ボクはもうこれがなければ生きていけないぐらい好きなのです。お寿司にも酢の物にも、焼き魚にもじゃこにも、冷ややっこにも、もちろん鍋には欠かせません。うちの家にはポン酢というものは存在せず、醤油にこの柚子の酢をまぜて鍋のだしをちょっと入れて、薬味などを入れれば「ポン酢」などという商品は必要無いのです。これが旨い! ずっとこれだから、給食で出てくる米酢の酢の物が食べられなかったのです。

暫く実家に帰れてないので、そろそろうちの柚子の酢もなくなってきた頃、きのういつも行くスーパーでは柚子の特売。六個買ってきて一五〇円でした。早速洗って、皮は料理用に少しキープ。そしてオレンジを絞る器具を前に貰ってあったのを出してきて、もうこれでもかーっていう程絞りました。凄いもんですねぇ、柚子3個で写真のビン(スーパーでは四〇〇円ぐらいで売ってる小さいビン)が一杯になりました。うれしー! これで暫く大丈夫だぁ。全部絞ったあとは残った皮とかをネットに入れて柚子風呂に。これがまた良い臭いで最高。まさに柚子を全てしゃぶりつくした感じで超ハッピーなのでした。今、台所に行くとほのかにあの柚子の臭いがします。ボクが実家にいた頃は、この季節になるといつもこの臭いがしてたなぁ。これは良い意味でのトラウマみたいなものなのでしょうねぇ。あの頃は当たり前だったこの臭いですが、今は台所を通る度に犬みたいに鼻をクンクンしながら、望郷の念に浸ってますです。

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