今年の目標に「本を読む」というのを宣言したような気がするのですが、結構順調に色々と読んでます。ちなみに今図書館で借りている6冊のタイトルを挙げて見ると
なんかちょっと偏ったセレクトですね。全部中東関係の本です。
今日みたいな温かくて良い天気の空の向こうでも、確実に散っているのは桜の花びらなんかじゃなくて、尊い人の命なのですよね。でも日本の事も良く知らないボクには中東なんてまったく分からない。薄っぺらなテレビの報道やネットの記事を読んでいても、そんな自分の無知さはこれはちょっと犯罪だなと思って(笑)、実際にその場所に行って体感するのは無理なので、せめて本を読んで考えてみようと思ったのです。相手を理解すことが平和の第一歩だと思ったからです。
トルコ系の本が多いのは、今回の戦争報道のなかにおまけのような扱いで出てくる(ように感じる)「クルド人」というキーワードがひっかかったからです。
この本の中で今唯一読み終わったのは「トルコのもう一つの顔」(小島剛一著/中公新書/ISBN4-12-101009-4)なのですが、これはかなり面白かったです。はじめ借りる時は日本人が何回かトルコに旅行に行った事を書いてある紀行文なんだろうなぁ、なんて思っていたのですがとんでもない。フランスに住んでいた著者が1年の内の何か月かを16年くらいかけて歩き回り、トルコ内の少数民族の言葉を調査した本なのです。こう書いてもそんなにたいそうに感じないかも知れませんが、実はトルコという国は「トルコにはトルコ人しかいない。トルコにはトルコ語しか存在しない。」と建前ではそうなっている国だったそうです。そういう中で少数民族の(公には認められてない)言葉の研究なんてのは命がけです。どなたかも書評に書いておられましたが、これはもう紀行文ではなくて、サスペンスでしかもドキュメンタリーです。しかも読んでいるだけでこころの奥の方がほんわかと温かくなるような、トルコの人々の生活と人情とが一杯な分、国家とか民族とかの「もう一つの顔」の部分が色々と考えさせられる本でした。変わる国境線や色んな民族やさまざまな宗教など、島国日本に住んでいるとまったく分からない価値観があるのを思い知らされました。