パザ日誌

2003年08月30日(土)

夜多羅拍子

巻上公一さんや戸川純さん、それにデーモン小暮閣下とかが語りで参加してるストラヴィンスキーの「兵士の物語」のCD。思い出したらどうしても聴いてみたくなって、あっちこっち調べてみて、実際にJBookでは注文してみたんですが、結局「品切れのためにキャンセルさせて頂きました」というメールが来ました。残念。もう恐らく新品では手に入りそうにないので、中古を探すしか方法はないのでしょうね。こういう状況になると、余計に聴きたくなるんですよね。「そのうち買おう」なんて思ってて、今まで買わずに放っておいたくせに。とほほ。
新品発見しました。「兵士の物語」発見(二〇〇三年九月一日の日誌)

とある本を読みたくて、図書館の蔵書をインターネットで検索してみると(便利な時代ですね)、ラッキーな事に有って、しかも「貸し出しできます」との事。それならばと図書館へ行って、念のために館内でもう一度検索。これまた「貸し出しできます」との事で、探してみたのですが結局見つかりませんでした。こういう時ってたまにあるんですが、誰も貸し出しの手続きをしてないという事は、館内で見ているか誰かがパクって持って帰ったって事ですよね(あ、全然関係ない所に紛れてる可能性も有りますね)。だから、館内に居ると精神衛生上悪いので、とっとと帰りました。ちくしょー、誰だあの本を持ってるのは! とかって、つい疑心暗鬼になって、人が持ってたり座って読んでたりする本をジロジロと見てしまうのでした。冷静になろうと思って、「宮川大助・花子」の花子さんは何故ずっとピンクハウスの服を着てるんだろう? というのを考えてみたりしたのですが、余計に気が滅入ってしまったのでやめて帰ったという感じです。

それでもちゃんとCDは借りて来まして、ひとつは最近はずっと借りてる桂枝雀師匠の落語と、もうひとつはキングレコードから出ている「小泉文夫の遺産〜民族音楽の礎」というシリーズの中の五九枚目の「第三章 リズムのいろいろ」っていうのを借りてみました。これは多分ラジオ番組かなんかの為に録音されたものらしく、音楽CDというより「英会話講座」とか、そういうノリのCDですね。解説がずっと入ってて、その例として音が入ってるって感じです。

その中で興味深かったのは、雅楽の中にも「変拍子」があるという事でした。民族が伝統的に持ってる「リズム」っていうのは、主に「二拍子系」と「三拍子系」に別れるというのは良く言われる事ですね。「二拍子系」は農耕民族で、「三拍子系」は狩猟民族に多いっていうのも良く言われますね。馬に乗る民族は、あの「パッカパッカ」っていうリズムが遺伝子にあるから、「三拍子系」が強いとか。それで農耕民族の日本人は「シャッフル」が苦手な人が多いとかって言われたりします。日本人が「農耕民族」っていうのは、なかなか微妙な所だとは思いますが(日本人が農耕民族になったのは弥生時代からでしょ?)、なんとなく日本人が「二拍子系」の民族っていうイメージはありました。でも、ちゃんと雅楽には「

夜多羅拍子
やたらびょうし

っていう五拍子の変拍子があるというので、その例に「環城楽」という曲が入ってましたが、たしかに五拍子でした。

「夜多羅:やたら」が5/4(2拍+3拍、アクセントは1,3,4拍目)

この「夜多羅拍子」の「夜多羅」っていうのはどういう意味だろう? と思って調べてみると梵語(サンスクリット語)の「ヤターラ」からきていて、意味は「早く踏む調子」の事だそうです。日常的に使う「やたら」という言葉の語源も、この「夜多羅拍子」からきているという説もあるようです。

当然、演奏の方は生半可なテクニックでは出来ずに、かなり上級者のさらに特殊な人たちだけにしか許されていなかった為に、いつの間にか「やたらと出来ない」「やたらと難しい」と言う用例の言葉になっていったのです。

トルコの九拍子みたいに、民族的に変拍子を持っている場合もありますが、この「夜多羅拍子」の場合は高度なテクニックだったと言う事ですね。と言う事は、日本の音楽の中での初代プログレッシヴ音楽は雅楽の曲だったという事になりますかね(笑)。ちょっと面白いですね。

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