京都のLiveSpot RAGというライヴハウスは、なかなかスリリングな場所です。
ボクがここに初めてライヴを観に行ったのは、スーパー・ハイテク・インスト・バンド"W.I.N.S"というバンドを観るためだったんです。その時はボクはまだドラムを叩いてなくて、バンドでギターを弾いてましたが、DedChaplinというバンドを観て衝撃を受けて、そのドラマー菅沼孝三氏の大ファンになりました。DedChaplinから孝三さんが脱退した後、某情報誌のライヴ・スケジュールに「菅沼孝三、永井敏巳」という名前を見つけて、DedChaplinでは聴く事が出来なくなった、この2人の超絶なリズム隊が聴けるのか! と"W.I.N.S"のライヴをRAGで観たのでした。
演奏のスリリングさは勿論の事、まったく圧倒されっぱなしだったのですが、一番驚いたのは、休憩の時に孝三さんがボクの座ってる横に、ほんとうに何気なく座って、前にいたお客さんと喋ってた事。それまでホールやライヴハウスに限らず、「楽屋」と「客席」という、完全に遮断された場所に居る方が、休憩中に客席でお客さんと喋ってるなんて、そういう世界は初めてだったので、これは演奏以上にスリリングだったのを覚えてます。
勿論、アマチュアのライヴはそういうノリが当たり前だったんで分ってたんです。でも、それがプロの人、しかも憧れのミュージシャンとそういうコミュニケーションがとれるという世界があるなんて思ってもみませんでした。その後暫く、実際に孝三さんと会話した訳でもないのに、隣の席に座ってたというだけで興奮してしまってたのでありました。
それからは、そういうライヴハウスにも通ったりする様になり、そういうノリにもすっかり慣れてはおりました。しかし、1年前のまたまたRAGです。京都のLiveSpot RAGというライヴハウスは、なかなかスリリングな場所です。
pazapのギタリストである生野さんとボクとで、アラン・ホールズワースのライヴに行きました。ボクの場合にはドラムがチャド・ワッカーマンだったからです。Zappa御大のバンドで長い間ドラムを叩いていた、ボクにとっては雲の上の人物です。確かその前の年にも、ライヴに来てたんですが、都合が付かずに行けなかったんです。で、やっと生チャド・ワッカーマンが観れて、ポリリズミックなドラム・ソロに感動してライヴが終わった後です。感動に酔いしれて生野さんと向かい合わせで座っていた所、ふらっと生野さんの横の席にアラン・ホールズワースが座りました。生野さんもビックリしてましたが、なんと、アランが居るからと、ふらっとチャド・ワッカーマンまで来たではありませんですか。しかもボクの横に座りました。正直、チビリそうでした(笑)。この場所がそういう場所であるっていうのは、何年も前から体験して知ってるんですけれど、でも、ある意味こんなボクにとっては神に近い感情を持った人が、ふらっと隣に座るだなんて、想像もしておりませんでした。生野さんはアランに握手をしてもらい、ボクは持っていたチャドのソロ・アルバムにサインをしてもらいました。なんという素敵な夜だったのでしょう。
そういうアラン・ホールズワースのライヴの季節がまたやってきました。何故かよく分らないんですけれども、アランのジャパン・ツアーはいつも、ゴールデン・ウィークの辺りなんですよね。でも、今回はドラムがチャドじゃないんですよね。残念。今年もRAGであの感動に遭遇する人が居るんだろうなぁ......。というか、毎日の様にあの場所ではそういう感動があるんですよね、きっと。
京都のLiveSpot RAGというライヴハウスは、本当にスリリングな場所です。
さて、ボクが大尊敬するドラマーで、初めてのRAGでその衝撃を受けた菅沼孝三さん。その後大阪のロイヤル・ホースというボクなんかには不似合いなジャズ・ラウンジがありまして、そこはドラムの真後ろに客席がありまして、そこへちょくちょくライヴを観に行ったりして、増々その凄さに参ってしまいまして、4年前に大阪で孝三さんのドラム道場がオープンした時には、平日でちょっと通えるかなぁとか思ったんですが、なんとか生徒としてレッスンを受ける事にしました。それから丸4年。一応、無遅刻無欠席の皆勤賞。それに楽しかった発表会。というか、岸和田の人が一年をだんじりを中心にとらえている様な感じで、ボクの1年は明らかに発表会を中心に回ってました。3回参加したんですけれど、必ずオリジナル曲を演奏するっていうのをポリシーにして出演しました。3回めには歌付きでpazapの曲も演奏できて、pazap初の関東進出という事になって楽しかったです。
さて、あと1回残っていたと書いた「更新が滞っていた時シリーズ(?)」最終回です。更新してなかった頃、ドラム道場を退会しました。
理由は、生活パターンの変化によりまして、通うのが困難になってしまった事で、不本意ながらという事なんですが。でも、本当に楽しい4年間で、ボクの練習の怠慢によりましてドラムは上達しませんでしたけれど(苦笑)、本当に楽しかったですし、勉強になりました。孝三先生を初めとしまして、レッスンで知り合った道場生の方々、スタジオのスタッフの皆様方、発表会で出会った方々、本当に楽しい日々をありがとうございました。そういう気持ちで一杯です。