杉が2本、倒れていました。
1本は根元から数十センチ程上の辺りをもぎ取られる様に、もう1本は大男がてっぺんから、その大きな親指と人差し指でひょいと持ち上げ、根っこから抜いた後、そのままゴロンと転がした様に、力なく横たわっておりました。
去年、日本列島を通り過ぎて行ったいくつもの台風が、みごとなまでに四国を通り過ぎて行ったものですから、その強風に煽られて、この杉の木も倒れたものと思われます。
それにしても、風をまともに受けると思われる最前列の杉たちが、全てビクともせずに、スッと背筋を伸ばして立っているにも関わらず、何故か倒れた杉たちは2本とも、中程に立っていた木でした。
杉を植えたまま間伐せずに----若しくは代替わりなどに依って、する人が居なくなって----日の光が届かないまま、もやし状に生えたヒョロヒョロの杉が、根もしっかり生やせなかったせいで、風に持ちこたえる事が出来なかったのでしょう。
保水力の無くなった山は、大雨に依って地滑りを起こし、山肌が赤くなった山がこのところ増えたと言う話も聞きました。
そう言えば、去年の大雨で「山が滑って行く」という表現がふさわしい様な、道路を飲み込んで滑って行く山のショッキングな映像が、ニュースで何度も流れました。あれを見た時に----ボクは親戚の叔父と一緒に見ていたのですが----叔父が「杉ばっかりや」と言ったのを覚えています。まさにその時、まったく同じ事をボクも考えていた所だったからです。
杉だらけの山を見ながら、その山がそのまま、この国に見えてしょうがなかった、三連休の最終日の事でした。