去年の10月から、実に9ヶ月ぶりのライヴでございました。つまり、今年初めてのライヴという事になりますね。
ちょいと前のpazapからしたら、9ヶ月くらいの間隔があくのは普通で、むしろ早いくらいだった訳ですけれども----2年あくっていう場合もありましたし----最近にしたらちょっとあき過ぎかな? という感じはしますね。
今回も『pazap定食』的ないつものメニューだったのですが、オケは結構手を入れてあって、基本的には全ての音色を見直してあります。これには相当時間をかけたのですが、なんせこういうのは終わりが無い事でありまして、締め切りがない限りいつまでもやってしまいます。それで、準備の関係上ライヴ1週間前を締め切りと自分で決めて、最終調整をしましたので、個人的にはまだ中途半端です。いや、中途半端というか、ベーシックな部分がほぼ完成していて、プラスアルファの部分、例えばサウンドエフェクト的な部分を含めリミックス的な事などが出来なかったという意味なのです。だから、今回のライヴはいままでのpazapとほぼ同じ内容と言っていいのでしょう。そして、今回やれなかった事が、ボク個人としてはこれからのpazapでやりたい事でして、新曲も含めてこれからのライヴ等で披露していきたい部分ではあります。
そういう中でも、今回結構大きな変更はHell DittyがVer.3に上がって、ポリリズムが強化された事。デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン的なポリリズムを部分部分に導入して、8と7のポリリズムにしました。この曲ではいままでにも2小節(1小節X2コーラス分)だけポリリズムの導入はありましたが、それ意外の部分でも8と7のポリリズムを導入して、その部分では7拍子と4拍子が同時進行してるポリリズムを生んでおります。この『Hell Ditty』はほぼ全編が変拍子で、しかもころころと拍子が変わる曲なのですが、これにポリリズムを強化した事により、ボクとしては理想的な形になって来てると思ってます。もちろん、こういうリズム構造の上に生野さんのハイテクギターと、不思議系ヴォーカルが世界観を出してくれる事で、pazapとしてのポップな世界観を作って行けたらと思います。
あと大きな所では、『ひげの魔法』の序曲を、エレクトリック・ギターとドラムセットと仮想弦楽オーケストラの為の『ひげの魔法序曲』という風にアレンジ。大袈裟な名前になりましたが、単にKontakt2付属のストリングスを使って、弦楽オーケストラ用にアレンジしてみただけです(しかも作り込みが甘い即席です......)。これ、客席ではどう聞こえていたのか、生で聴いてみたかった!
後は、ベースソロが入る曲が2曲あったのですが、これは打ち込みオケに演奏させるのじゃなくて、生野さんがギター・シンセで実際に弾きました。これも面白かったですね。ちゃんとベースのソロでした。まぁ、生野さんは色々と大変そうでしたけれども......(笑)。
今回のライヴを振り返ってみると、思い出しただけでも恐ろしい事がリハーサルにありました。いつもどおりにセッティングをして、オケもちゃんと鳴っているし、クリックも出るので安心しきっていたら、演奏を始めて見るともの凄く気持ちが悪いのです。それは、モニターからの打ち込みの返りと、ヘッドフォンからのクリックが微妙に合っていないのです。これには焦りました。前回のライヴとかとセッティングが同じならば、もっと早く対応できたのかもしれませんが、今回からは使ってるソフトが違っていて、しかもMIDIを使わない完全オーディオ化したシステムに変えたので、ひょっとしたらそれが原因なのかも? と初めは思い込んでいて、それに対する対応で頭の中を一杯にしながらリハを進めておりました。若しくは、スタジオの練習時のモニタから自分までの距離と、ライヴのモニタからの距離が違うせい? とか、後から考えるとそんな訳ないやん! ってつっこめる事も真剣に考えて、どうしたらこの状態が良くなるのかと、それと同時に『これはダメだ。今回のライヴは絶望的だ!』という思いで一杯一杯になっておりました。
リハが進むにつれ、この『合わない感』はさすがに生野さんも感じているらしく、後ろで見ていても明らかに気持ち悪い感じで、それが更に絶望感を決定的にしました。ボクだけがモニタからの返りに合わせるのか、クリックに合わせるのかでアップアップしてるだけじゃなくて、メンバーもこの気持ち悪さが分かっている。そうなると今日のライヴはもうやる前から大失敗です。
そうする内に、リハもあと1曲くらいで終わる雰囲気になってきました。ますます気分はブルーになってきましたが、ここは原点に戻って、つまり今までのシステムで同じ状態になった時に何を一番に疑うのか? という事を考えてみますと、これは前のシステムの頃からの経験も含めて、1つ怪しい部分がある事に気付きました。それは、Mac OS Xの『Audio MIDI設定』です。
前にも書いた事があると思いますが、今のpazapのシステムは最低アウトプットが3つ必要です。オケ出力用のLRに加えて、クリックのアウトが必要だからです。でも、今ライヴで使ってるオーディオ・インターフェイスは2アウトしか無いので、この不足分をMac本体のヘッドフォン端子を使ってるのです(過去の日誌の『MW10と別系統でクリックを出力する(その1)』参照)。つまりMacはOSX10.4から複数のオーディオのイン・アウトをひとつの仮想デヴァイスとしてまとめる事ができるので、USBオーディオ・インターフェイスと内蔵アウトをひとまとめにして、内蔵アウトプットからクリックを出しているのです。この設定のうち『オーディオ出力』の『ストリーム1』(この場合これはオーディオ・インターフェイスのLRになります)と『ストリーム2』(これは内蔵出力のLRです)のビットレートが違っていたのが原因だったのです。そうか〜、これはズレるよなぁ......と脱力。前のシステムでもここが勝手に変わっていてトラブる事が何度かあったのです。ギリギリの所で気付いて、その旨を簡単にP.Aの方に伝えて、もう1曲だけやらせてもらえるようにしてもらいました。で、結果はバッチリ! 助かった! ただ、オケとクリックへの集中から解放されると、こんどは歌とギターのかえりがほとんど聞こえてない状態に気付いたのですが、ひとまずホッとしたのとこれ以上リハが押すのもなんなので、そのまま行く事にしてリハ終了。もうこんな思いはこりごりです(笑)。
御陰さまでライヴ本番は何とか気持ちよく演奏させてもらいましたが、リハでビビりすぎた影響か内容がどうだったかは全然記憶に有りません(笑)。でも、次回はもっとパワーアップで行きますので、リポビタンDもグイグイ飲んで老体にむち打ちますので、是非聴きにきてやってくださいませ。皆様!