パザ日誌

2003年11月22日(土)

映画音楽講義

大風流」というイヴェントの一環として、今日と明日、「レコード市」が開催されるという事で、行ってきました。京都市役所前に設営されたテント内には、京都だけではなくて、大阪や名古屋や神奈川、さらに仙台のレコード・ショップも参加してたのだとか。どちらかというと、アナログ・レコードの方がメインの様な感じでしたが、なかなかマニアックな品揃えのお店とかもあって、CDだけを見ていても楽しめました。ボクは一番始めに見たお店で、欲しかった坪口昌恭プロジェクトの「東京の宇宙人」というアルバム(CD)を発見。定価二五〇〇円の所を、一七八〇円と中古としてはちょい高めだったのですが、実は未開封の新品だったし、定価だったとしても欲しかったCDだったので即買いでした。ラッキー。

カフェ・アンデパンダンの中

その後、腹ごしらえに三条のカフェ・アンデパンダン(Cafe Independants)へ。廃墟をテーマにしている内装が、なかなか素敵な場所で、とても居心地がいいので気に入ってる所です。まだランチどきだったんですが、そんなに混んでなくてゆっくり出来ました。今日のランチはチキン。それにパンとサラダとスープが付いて五〇〇円と、結構お得です。それに、ここのジンジャー・エールはウィルキンソンなんですよね。これも良い所です。しかし、分ってはいても、ウィルキンソンを瓶から氷入りのグラスに注いで、それをすぐに飲もうとしてしまってえらい目にあってしまいます。まったく学習しておりません。この意味が分らない人は、一度同じ事をしてみてください。身を以て体験できると思います(笑)。

それから、河原町OPAのタワレコへ行って、"musée"というタワレコ発行のフリーペーパーを貰いました。今の号(Vol.46)には岸野雄一さんがSpank Happyのアルバム評を書いてるのでした。Jeugia三条本店のイヴェント・スペースで行なわれている「ドラム放題」を覗いて、Kitanoの6mm厚のチタン・スネアを撫でて(笑)、時間がないのでいそいそとカフェ・アンデパンダンの上にある、 ArtComplex 1928へ。

今、京都では「京都国際学生映画祭2003」というのが行なわれていて、今日の夜の部はArtComplex 1928で、招待作品として「百年の絶唱」(Jesus in Nirvana)という井土紀州監督の自主制作作品と、その後、岸野雄一さんの「映画音楽講義——映画と音楽との関係性」という特別講義がありました。

「百年の絶唱」は英語の字幕が下に出るという、初めての体験をしたのですが、ついつい反射的に字幕に目がいってしまう自分が嫌になってしまいます。内容とか、映画の部分はボクは語る事は出来ませんが、エンディングで流れるベートーヴェンの第九が印象的でした。後の講義とも関連するのですが、ボクは第九——第四楽章——ってソリストの歌が始まるまでの部分が結構あるので、きっと歌が始まる前に曲が終わるだろう……って思ってたんですが、歌が始まってもそのまま続いたのが個人的には意外でした。あと、印象に残ったのは、映画中に「ザッパ」という名前が出て来た事ですか……(笑)。見終わった後の井土紀州監督のお話では、この作品は全てアフレコだったのだそうですが、録音はProToolsを初めて使ったのだそうです。

休憩の後、岸野雄一さんの講義。映画音楽における第一の領域、第二の領域というお話でした。例えば、第一の領域というのは、映画の中の登場人物にも聞こえている音——喫茶店で流れているBGMだとか——で、第二の領域というのは、観客にしか聞こえてない音——ジョーズのテーマや、先の映画の第九など——という事でした。そういうのを実際にヴィデオで例を見ながら説明をしていました。

面白かったのは、音の無い映画に実際に音を付けてみるとどうなるか? というので、ヒッチコックの「鳥」の映像に合わせて、ホルストの「惑星」から「金星」というクラシック曲、それから岸野さんのPowerBookG4に入っていた曲から、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」、最後には受講生の中でCDを持っている人から借りた、古いブルーズ——誰の何という曲かは失念——をサウンドトラックとして付けてみました。どの曲が合ってると思うか? という事で挙手をしたのですが、一曲目が一番支持を得ていたようです。ちなみにボクも一曲目。いつもは最後は日本語の歌をつけてみるのが一番良いのだそうで——日本語がいかに邪魔になるか……というのが分るそうです——それならボクが持ってたCDを渡すべきだった……と非常に後悔したのでした。これかけたら絶対に受けてたのになぁ……。でもリュックの中から探すのに手間取ってしまってダメだったのでした。ちなみに、それは何かっていうと「1980」という映画のサントラに入ってる曲で、犬山イヌコさんが歌ってる「防人の詩」(さだまさし作詞・作曲)です。しかもテクノ調! あぁ……残念……。

しかし、三つとも意外な程に映画にマッチしてて驚いたのですが、これは音楽が映画に合ってるんじゃなくて、観客の方が合わせてるのだそうです。でも、映画音楽というのは、ドラムがビートを刻む様な音楽は向いてないというのがこの実験でも分るという事でした。ビートが強調される音楽というのは、その部分にカット頭やアクションが合ってないと、見てる方に違和感があるとのことです。確かにそれは思いました。

時間の関係で、岸野さんの講義はここまで。第三の領域という「ミュージカル」もあるのだそうですが、これは来月に「京都みなみ会館」でお話されるそうです。これはミュージカルをオールナイトで三本観るという企画なので、その合間に岸野さんなどの対談があるイヴェントです。ナイロン100℃の芝居を観た後、近鉄小劇場から直行という事になりそう。ハードだぁ……。その後、先ほどの井土紀州監督、それから澤井信一郎監督との対談がありました。面白い話が色々とありましたが、それはまた別の話……(苦笑)。

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