パザ日誌

2003年12月03日(水)

ミュージック・コンクレート

アンリと「漁夫とその妻」のCD

ちょっと前にも覗きに行った「レストア・ストア」という古本とか中古CDとかの店に寄ってみて、今日はじっくりと見てきました。中古CDは結構たっぷりとあって、全部ちゃんと見ると時間がかかりますね。しかも売れ筋じゃないやつが軒並み三百八十円になってるので、掘り出し物を探そうと余計に時間がかかってしまいます。でもこれが「売れ筋じゃない」と判断されてても、クオリティの低いCDという訳ではなくて、逆にボクみたいな流行もの自体が初めから眼中にないヤツにとってみたら、こういうシステムはお得なんですよね。そういう訳で、今日は二枚買ってきました。勿論、二枚とも三百八十円なので七百六十円プラス消費税という事です。いやぁ、これは最高にお買い得でした!

まづ一枚はフランスの作曲家ピエール・アンリ(Pierre Henry)の「都市、メトロポリス・パリ(La Ville.Die Stadt Metropolis Paris)」(King International Inc. KKCC-4293)というアルバムです。帯には「片山杜秀が選ぶWergoおもしろ現代音楽3」とあって、ドイツの現代音楽のレーベルWergoからリリースされている中から、片山杜秀氏によってチョイスされて、国内盤としてリリースされた5タイトルの内の一つだそうです。

まぁ何がお得って、このCDはおそらく売れ残りかなにかの新古品なんでしょう。まったくの新品状態で、ディスクにもケースにも傷一つ入ってませんし、ライナーノートとかも触った形跡すらない感じです。これが三百八十円ってお得過ぎというか、マイノリティな音楽好きとして人様から後ろ指さされて、堪え難きを耐え、忍びがたきを忍んで来た甲斐があるというものです(苦笑)。

このアルバムは、ピエール・アンリという名前で分る人も居るでしょうが、いわゆる「ミュージック・コンクレート」(具体音楽)というヤツです。そいつは何じゃい? という方もいらっしゃるでしょうが、もう極端に言ってしまうと「テープ音楽」ですかね(テープっていうのも古いですが……)。つまり、具体的な音——録音された「街角の音」やら「犬の鳴き声」やら「クラクションの音」など——を編集して作品を作る訳です。「ミュージック・コンクレート」なんてもう古い方法だなんていう言われ方をする事もありますが、この作品——一九八四年作曲——を聴いてても全然古い感じはしないし、むしろリミックス全盛の今の時代にピッタリな手法だと思ったりもします。

「聴く映画」という言葉が帯とかライナーにいっぱい出てきますが、聴いた感じはまさに「聴く映画」です。ボク自身、あまり「ミュージック・コンクレート」を聴いた事がないのですが、これはパリの街角の音をただ単に録音してあるだけじゃなくて、ちゃんと「音楽」になってるというのは驚きました。正直もっと退屈なものじゃないかって思っていたんですが、ずーっと聴き入ってしまって、最後まで聴いてしまいました。しかも、かなりショッキングでエキサイティングな体験でした。そして目から鱗がポロポロ落ちる感じでもありましたです。もうこの世にはこんなに面白い音楽が一杯あるんだから、ボクが何かをする必要があるのか? という感じもして、ちょっと落ち込みますけれど……(笑)。でも、とっても楽しいですね。

もうひとつのアルバムは「漁師とその妻」(PCCY-20034)。グリム童話の「漁師とその妻」を、ヴァン・ダイク・パークスの曲をバックに、ジョディ・フォスターが語るというものです。「ピーターとオオカミ」とか、そういうノリでしょうか? 勿論、英語で語られるのでボクにはチンプンカンプンですが、日本語版なので対訳もついてますし、語りが入ってるヴァージョンと音楽だけのヴァージョンのふたつが収録されています。これもまぁ言ってみれば「聴く映画」と言えなくもないですね。両方のCD共に大当たりで、本当に大満足な買い物でございました。

おっと、今日はNHK-FMでSpank Happyのスタジオ・ライヴがあるのでした。今から聴かなければ……。そういえば、今日がニューアルバムの発売日だったのですよね。買うのは先になりそう。三百八十円に……はい、なりませんですね(苦笑)。

コメントは受け付けていません。

pazap研究室 all rights reserved.