パザ日誌

2003年12月07日(日)

和製ミュージカル映画三連発

昨日の分からの続きです。

大阪から京都駅に到着したのが午後十一時十五分頃。ちょうど映画の開演時間でした。こりゃ、急いでたら間に合ったのかも……とか思いながら、八条口の出口が閉まってたので、奈良線のホームを経由して近鉄に乗り換え。
京都みなみ会館という映画館の最寄り駅である「東寺」駅までは、ひと駅だけなのですぐに着くのでした。駅からみなみ会館までの間にあるローソンで、ポカリスエットのペットボトルとおにぎり、それからリポビタンDを購入。これから徹夜で映画を観るので、眠らないようにと思ったんですが、栄養ドリンクにそういう効果があるのか全然分らないまま、まぁ気分の問題さ……ってな感じでグイとひと飲みして、みなみ会館の階段を駆け上がりました。今日のオールナイト企画はこういうもの……。

「Singin’All Night 唄ってしゃべって夜明けまで」
  • 映画『鴛鴦歌合戦』(1939/日活京都)上映
  • 対談:ゲイリー芦屋・蓮実重臣
  • 映画『アスファルトガール』(1964/大映)上映
  • 岸野雄一「歌う映画講座」
  • 映画『君も出世ができる』(1964/東宝)上映
  • クロストーク:岸野雄一&ゲイリー芦屋&蓮実重臣

約三十分遅れで開場に入ったら、当たり前ですが、すでに一本目が始まってました。マキノ正博監督が昭和十四年に撮った「鴛鴦歌合戦」という、一部ではカルト的な人気もある和製オペレッタ映画だそうです。途中から入ったっていうのと、開場の暗さに目が慣れないので、席には着かずに一番後ろで立ったまま鑑賞。昭和十四年なんていう微妙な時期に、こういう映画が作られていたというのにまづ驚きでした。しかも、トラブルから急遽四日間で脚本・作詞・作曲をされたのだとか。それはホントに凄いですね。後のゲイリーさんと蓮実さんの対談でもおっしゃってましたが、普通に聴いてたら日本的な歌とかだったりするんですが、内容はまさしく洋楽です。ボクも実際に映画見ながら、そう思ってました。ジャズっぽいのやらラテンっぽいのやらがあって、かなり驚きました。

後ろで立ってみてて、映画が終わって客電がついたので席を探しに移動する時に、岸野さんとすれ違ったのですが、その瞬間に岸野さんが「いいなぁ……」としみじみとつぶやいていたのが印象的でした。ゲイリーさんと蓮実さんの対談は、「鴛鴦歌合戦」の話から言語と音楽の関係みたいな話に発展して、かなり興味深い内容でした。

二本目の「アスファルトガール」もとても面白かったです。「プリティ・ウーマン」みたいな映画ですかね? 「プリティ・ウーマン」をちゃんと観てないのでなんなんですが……(笑)。ゲイリーさんがかなり影響を受けていて、それは「ヒゲと未亡人」の楽曲にも反映してるという、平岡精二氏が音楽を担当してるのだそうです。ジャズ系の人らしくアートブレイキーの「モーニン」みたいな曲とかがあったりして面白かったです。特にチンピラ(ひも?)がウェストサイド・ストーリーばりに踊るシーンは、なかなか見応えがありましたです。ゲイリーさん曰く「これから再評価されると思うので、平岡精二という名前を覚えておいて下さい」との事です。ヒゲミボでも平岡精二のアルバムを出すという計画もあるとかで、楽しみです。

踊りながら登場して、帽子を客席に投げた岸野さんの「映画音楽講義」を挟んで——内容はこの前のアートコンプレックスと似た感じで、まとめという感じでしたが、スクリーンに映して引用していた映画がかなり良かったです——三本目の映画「君も出世ができる」の上映。個人的には、この映画が映画として一番面白かったです。音楽は黛敏郎氏で、主要メンバーのフランキー堺、高島忠雄、雪村いずみ、中尾ミエにそれぞれテーマ曲みたいな曲が設定されていて、後半それが絡み合ったりするのが印象的です。この曲が良い曲ばかりでいいのですが、個人的に気に入ったのは雪村いずみの「アメリカでは」とかって歌う曲でした。あと、オープニングもかなり好きですね。フランキー堺が起きて出勤して行く所。路上の落書きでキャストが紹介される所は凄く好きな感じです。

映画が終わったのが、だいたい午前五時半ごろ。それからゲスト三人によるクロス・トークと質疑応答でした。こういう話の内容を書くのは、なかなか難しいのですが、映画音楽についてのかなり濃ゆーい本気トークが繰り広げられました。映画をみるだけでなくて、こういうトークがあるというのはかなり面白くて、素晴らしい企画だと思いましたです。絶対に途中で寝てしまうと思ったんですが、結局寝る事もなくたっぷり楽しめました。是非、また続編を期待したいです。

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