パザ日誌

2003年12月19日(金)

もうどこまでもアンサンブル・モデルンについて行きたい気分

通りがかったミドリ電化で空気清浄機のフィルターを購入。もう二年近く交換してなくて、そろそろ限界なのです。一応交換の目安は二年なんですが、汚れ方は目視でも限度を超えてるのが容易に分る程なんです。でも、どこの電気屋さんに行っても、新品の空気清浄機はズラーっと並んでるのに、フィルターなんてほとんど在庫として置いてないのはどういう了見なんでしょ? やっぱり取り寄せてもらおうかと思ってた所、フラっと入ったこの店にはちゃんと在庫がありました。こんなにフィルターの在庫をそろえてる店は初めてみました。素晴らしい……という事で、ポイント・カードまで作って購入。しかし、このフィルターの値段が本体価格—-定価ではなくてセールで買った値段なんですが—-の五割というのはなんとも……(苦笑)。まぁ、二年に一度なら許せる範囲ではあるのですけど。

それから、すっかりノーマークで油断してたというのと、体調不良で情報収集能力が下がっていたというのを言い訳に(苦笑)、リリースをまったく知らなかったEnsemble Modernの"Greggery Peccary & Other Persuasions"を、今日は必死で見つけてきました。
関堂幸輔さんの今日のM4(メディア批評日記)にてそれは意外と書いていただいたんですが、ボクはどこまでも隙だらけの人間です(笑)。

とりあえずザッパモノはここへ行っとけ! というJoe’s Garageへ行ったのですが、置いてませんでした(もしくは売り切れ?)。ブートとか色々と誘惑がある危ないお店なので、そそくさと退散(笑)。近くにあるカナート洛北の中のHMVへも行ってみたのですが、クラシック・コーナーのしょぼいこと。まったくお話になりません。それでも、どこの店にもスティーヴ・ライヒのデジタル・オペラ「スリー・テイルズ」(CD & DVD)は置いてあるんですね。欲しいモノなので、これまた危険防止措置により素早く退散。こうなればクラシック関係の充実してる店に行かねば……と体制を立て直し、京都市内でクラシックが充実してるJEUGIA三条本店へ。クラシック・コーナーが広いので逆に探すのに手間取るかと思ったのですが、「現代音楽コーナー」の「サ行」の先頭にあるのを素早く発見して、やっとこさ購入できたのでした。良かった良かった。CDの帯のジャンルが書いてある所に<ロック(現代音楽)>と書いてあったのがちょっと笑えました。なんじゃそりゃ。

週末の渋滞を縫う様に、知ってる限りの裏道を駆使して帰宅。靴を脱ぎ損ねる勢いでCDプレイヤーにセッティング。いきなり最後の"The Adventures Of Greggery Peccary"から聴きだすというのは反則でしょうか? Zappa御大の曲(またはアルバム)から「一番好きなのは?」若しくは「一番おすすめは?」とかって質問されて、非常に困る事がたまにあるのですが、それでもかなり上位にしめる曲は"The Adventures Of Greggery Peccary"(邦題:グレッガリー・ペッカリーの冒険)で、これが入ってるアルバム"Studio Tan"は"Revised Music For Low Budget Orchestra"(邦題:低予算編成管弦楽団のための音楽、改訂版)や"RDNZL"という素晴らしい曲も入っているのもあって、本当に大好きなアルバムなのです。

それに、ボクが曲を作る時の目標としているのは、いつかきっと"The Adventures Of Greggery Peccary"の様な曲を作って、これをライヴで演奏する事なんです。ボクの中でこの曲は、Zappa御大の「ペトルーシュカ」だと思ってて、これは曲が似てるとかって事ではなくて、言葉では説明できないんですけど、この曲の「位置」みたいなのが「ペトルーシュカ」だと思ってるんです。ポップさと現代音楽っぽさと(=ロックっぽさとクラシックさ)、歌(語りも含めて)とインストのバランス的な感じとかや、ストーリー性とかが、まさにボクにとって理想的な感じで、全ての美味しい所が凝縮して詰まってる感じが大好きで、たてつづけに何回も聴く事が良くあります。だからボクはこの曲にはとても思い入れがあるので、いきなりこの曲を聴いてしまった訳です。

でも正直言って、Frank Zappa名義でなくて、Ensenble Modern名義のアルバムだし……、いやそれだけじゃなくて、ザッパ御大自身もこの曲をフルで再現した事なんて無かったのですから、今回もダイジェストなインスト作品だと決めてかかってました。だからCDをかける前に裏ジャッケットの時間表示を見て目を疑いました。「に……に……にじゅうごふんじゅうはちびょう?????」と(笑)。そしてCDをプレイしてみて、今度はやっと直りかけてる腰を抜かしそうになりながら、2、3歩後ずさりしてひっくり返りました。ちゃんと歌もナレーションも入った、まんまあの"The Adventures Of Greggery Peccary"の再現なんですね! しかもEnsemble Modernの!! ちゃんとハービーハンコックの「カメレオン」の引用らしき部分までそのまんま!!! しかも内容も素晴らしすぎでオーバーダブ無しですよ。信じられない。もう息をするのも忘れる程に、最後まで聴き入ってしまいました。

勿論その他の曲も素晴らしくて、"Moggio"や"Peaches En Regalia"なんていうロック系な曲が演奏されてるっていうのも素晴らしいですが、関堂さんもおっしゃられている通り、なんといってもシンクラヴィア作品をちゃんと人の手で演奏しているのはいいですね。勿論シンクラヴィアの演奏もいいのですが、こんなにスリリングな生演奏ヴァージョンでも楽しめるとなれば、こんなに良い事はないですし、これから更なるチャレンジをEnsemble Modernには期待したい所です。これを機会にザッパ作品の素晴らしさが認識されればもっと言う事は無いですね。

だいたい、クラシック・コーナーに置いてあるCDで、こんな素晴らしいオーケストラのCDのしょっぱなが「ブヒー」っていうブタ鼻から始まってるなんて、こんな素敵な事はないですよ。本当にEnsemble Modern万歳です! もし"Yellow Shark"とか"Everything is healing nicely"とかの現代音楽的フランク・ザッパが苦手という方にも、親しみやすくて素晴らしいアルバムだと思いますのでおすすめです。

何回も通して聴きながら、大山甲日さんの書かれたライナーノーツを読んでたら、なんか感慨深くなって涙が流れてきましたです。本当に素晴らしいアルバムです。

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