エルヴィン・ジョーンズというジャズ・ドラマーの巨匠の事を考える時、やっぱり頭に鳴り響く曲は「アフロ・ブルー」です。
ボクが23歳の頃にドラムを始めて、それまで敬遠してたジャズを聴いてみたくなって、当時住んでいた部屋の近所にあったレンタルCD屋さんで借りて聴いたのが「アフロ・ブルー」が1曲めに入っている、ジョン・コルトレーンのヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴでした。で、この「アフロ・ブルー」を聴いた時に、このトリッキーさがショックで、これはどういう構造になってるんだろうか? と何回も何回も聴き直したりしたのが懐かしいです(遠い目)。結局、これは分りやすい典型的な3と4のポリリズムだっていうのが分ったんですが、今から思うとこの曲がボクのポリリズム好きになる原点だったのかも知れませんです。
そのエルヴィン・ジョーンズが亡くなられたというのを、菊地成孔さんの(2004年05月20日06:34:38に更新された05月19日付けの)renouvellement&nouvellesで知りました。以下、菊地さんの文章の引用。
やはりエルヴィンは凄い。今聴くと非常に美しく整合性の取れた、綺麗に分かりやすいアフロ・ポリリズムを常に叩いていたわけだが、長年に渡って「どうなってるのか全然解らないが凄い」と言われてきた。そこが一番凄い事だ。
ポリリズムとしては分りやすいのですが、ポリリズム自体がまだまだ分りにくいものだって事なんでしょうね。この辺りはかなりポップになってきた変拍子とは違いますからね。1曲まるごと変拍子は、1曲まるごと4拍子とそう変わりませんから。でも、実は1曲まるごと3と4のポリリズムは、1曲まるごと3か4かのどっちか(でずっと取れる)って考えると、同じ様な気もするんですけれどもね。Zappa御大的な現代音楽的ポリリズムはまた別でしょうけれど。
ロックのドラマー。というか、ロック音楽自体があれはクラシックみたいなもので、実に心身に悪そうだ。
こういうの菊地さんらしいですね。でもクラシックが体に悪いっていうのは、前に聴いた菊地さんの講義でもおっしゃってまして納得しましたから、この発言も素直に笑えます。多分、実に心身に悪いと思いますですよ。
それはともかく、また1人ジャズの御大を失ったわけですけれども、そのジャイアントを忍びつつ、今日は「アフロ・ブルー」です。