パザ日誌

2005年11月02日(水)

コープス・ブライド

レイト・ショーでティム・バートンの『コープス・ブライド』を見て来ました。

最近睡眠不足で、ちょっと前に『チャーリーとチョコレート工場』を見に行った時には、面白くない訳じゃなかったにも関わらず、不覚にも寝てしまい、途中の記憶がまだらだったので、ひょっとしたら今日も寝てしまうのかな? という不安があったのですが、今回はまったく眠くならず、むしろ「え? もう終わり?」っていうくらいでした。

しかし、前の『チャーリーとチョコレート工場』を見た時もそうですが、こうなるとティム・バートンの映画なのか、それともダニー・エルフマンの映画なのか、分らなくなって来ますね(笑)。勿論『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』もそうですけれど。

まぁ、これだけ映画の中で歌がフューチャーされると、どうしても普通の映画音楽とは違って、音楽自体の主張も大きくなって来ますよね。『チャーリーとチョコレート工場』のサウンドトラックCDだって、半分は歌ものって感じですし、この『コープス・ブライド』のサントラだってそんな感じですよね。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』なんて、ほとんど全部が歌もののサントラですしね。しかも素晴らしい出来ですし。

しかも、ダニー・エルフマンが他の映画音楽作家と違うのは、自分が歌うという所ですね(笑)。こんなに映画音楽で自分が歌う作曲家って他に居ないでしょ? まぁ、もともとOingo Boingoっていうバンドのヴォーカリストだっていうのもありますけれど。

それから、この前に『ナイトメア』の中の曲のアレンジが、デューク・エリントンの曲の真似—-これは意識的にやってるんだと思いますが—-をしてる事を紹介しましたが、このやりかたもダニー・エルフマンらしい所かもしれませんですね。『チャーリー』のロック・ナンバーも、いかにも! っていうアレンジでしたし(あれはQueenっぽいんでしょうか?)。日本盤『チャーリー』のサントラのライナーを読んでると、サイケ調のラブ・ソングの方向で作ったとかいう発言をしているので、作る時には「何か」をイメージして作ってる事が多いのかもしれませんね。実際、今回の『コープス・ブライド』で出て来るピアノ曲は、もろにベートーヴェンのピアノ・ソナタ『月光』を意識しているのが分ります。こういうの、敢えて『月光』っていうネタ元が分って欲しくてそうしてるんじゃないか……という感じがしましたが、果たしてどうなのでしょうか?

いや、それにしてもティム・バートンとダニー・エルフマンのコンビは素晴らしいですね。ある種の「怪しさ」も含めて。ほんと、これからもこの路線で突っ走って欲しいです。

で、映画の方は『ナイトメア』以来のストップモーションという事ですが、更に表現は進化している感じで、例えば肌のやわらかさみたいなのが「CGじゃないの?」とかって思う程でした。パンフレットに制作現場の写真が少し載っているのですが、これをみると改めて凄さを感じました。『ナイトメア』みたいに、是非メイキングをDVDに収録して欲しいです。

あと、この世が暗くて、あの世が賑やかで明るいっていう作りも面白い所ですね。それから、主人公がティム・バートンの短編『ヴィンセント』のあの少年が大人になったイメージで作ってあるのも、『ヴィンセント』ファンとしては嬉しい所。しかも、この声がジョニー・デップで、これまたうまい! 本当にこの人は凄い人ですね。『チャーリー」のお茶目で本気なふざけっぷりも凄かったし。

ただ、こういうファンタジーぽいのに、「黒さ」や「エグさ」がある感じっていうのは、きっと好き嫌いがあると思うんですよね。マニア化、カルト化しそうなタイプですね。この映画はどうなんでしょうね。子供が喜んで見てるんでしょうか? 『ナイトメア』は公開中にはコケてるんですよね。何年もしてからフィギアから火がついたという経緯があります。でもその分『ナイトメア』ファンはこういうの好きな人でしょうから、そういう層には間違いなく受ける作品ではあると思いますが。

個人的には、あと何回も見たいと思う程、面白くて楽しくて、ちょっと切ない良い映画だと思いました。もちろんDVDも待ち遠しい!

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